溺愛しゅかゆづ夫婦編 (NL)
晴れた空から雨が降っている。
狐の嫁入り、と呼ぶことを知っているけれど。僕にとってのこれは――『龍への嫁入り』?
自分で言ってみて、自分で恥ずかしくなった。寝室の窓辺、顔をふせる。きっとうっすら赤くなってしまっているだろう頬を、雨降りの晴れ空から隠すように。
僕が朱夏と結ばれたとき。
誓いのキスをして、指輪を贈り合い、結婚した日。
それは六月の梅雨入りどきで、その日も雨が降っていた。そして、それなのに、空は快晴だった。
ぱらぱら軽快な雨の音と、雨粒を照らす日差し。やわらかい明るさを鮮明に憶えている。言葉で語り尽くせないほどの幸せと一緒に、僕の記憶に輝き続けている。
だから、僕にとってのお天気雨は、龍への……龍神さまへの嫁入り。僕の大切な思い出。ああやっぱり、へんに照れくさくなる。そんな話、あるいは、思考回路。
ただ、それだけのことなのだけれど。
にゃいん! かわいい通知音。
窓辺に置いておいたスマホの画面が、ぱっと明るくなる。新着メッセージ。
『いま外みれます? 弓弦の嫁入りですよ』
朱夏からのメッセージを読んで、思わず笑ってしまった。けれど、
『その呼び方は恥ずかしいから』
さすがにそれは。この現象にいちいち僕の名前を使われていたら、心がくすぐったすぎてどうしようもなくなってしまう。
龍神さまへの嫁入り、だなんて考えていた僕自身のことは、棚に上げておいた。だって、内心でこっそり想っているだけだし。
『お天気雨、僕は好き。きれいだね』
ちゃんと見ているよと伝えるつもりでメッセージを送ったら、
『俺も貴女のことが大好きですよ。俺の花嫁はいつもきれいで、可愛らしいです』
…………。
……、だって。
べつに照れてなんかいない。
狐の嫁入り、と呼ぶことを知っているけれど。僕にとってのこれは――『龍への嫁入り』?
自分で言ってみて、自分で恥ずかしくなった。寝室の窓辺、顔をふせる。きっとうっすら赤くなってしまっているだろう頬を、雨降りの晴れ空から隠すように。
僕が朱夏と結ばれたとき。
誓いのキスをして、指輪を贈り合い、結婚した日。
それは六月の梅雨入りどきで、その日も雨が降っていた。そして、それなのに、空は快晴だった。
ぱらぱら軽快な雨の音と、雨粒を照らす日差し。やわらかい明るさを鮮明に憶えている。言葉で語り尽くせないほどの幸せと一緒に、僕の記憶に輝き続けている。
だから、僕にとってのお天気雨は、龍への……龍神さまへの嫁入り。僕の大切な思い出。ああやっぱり、へんに照れくさくなる。そんな話、あるいは、思考回路。
ただ、それだけのことなのだけれど。
にゃいん! かわいい通知音。
窓辺に置いておいたスマホの画面が、ぱっと明るくなる。新着メッセージ。
『いま外みれます? 弓弦の嫁入りですよ』
朱夏からのメッセージを読んで、思わず笑ってしまった。けれど、
『その呼び方は恥ずかしいから』
さすがにそれは。この現象にいちいち僕の名前を使われていたら、心がくすぐったすぎてどうしようもなくなってしまう。
龍神さまへの嫁入り、だなんて考えていた僕自身のことは、棚に上げておいた。だって、内心でこっそり想っているだけだし。
『お天気雨、僕は好き。きれいだね』
ちゃんと見ているよと伝えるつもりでメッセージを送ったら、
『俺も貴女のことが大好きですよ。俺の花嫁はいつもきれいで、可愛らしいです』
…………。
……、だって。
べつに照れてなんかいない。
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