しゅかゆづ てのひら編
寝室は蒸し暑い、
窓の向こうの虫の声が、奇妙にくるくる回ってる。
寝つけなくて幾度と寝返りをうって、
それもいよいよ嫌になった頃。
「少し散歩に行きましょうか?」
見かねた貴方が僕の手を引き、
気だるげに閉ざされた窓を起こしてこうべを垂れさせたら
彼は僕を抱きしめて、夜の中に飛び込んだ。
まっさかさまの僕たちは、ぐちゃりとつぶれるトマトの時間を遡るみたいに、
きらきら、朱いひかりに包まれて
夜空を特急列車のように駆けのぼっていく。
「寒くありませんか」
涼しい風をシャワーのように浴びる。
夜を往くその朱い龍は、背中の僕を心配した。
「大丈夫、――わ、これはなに?」
「ああ、星のかけらですね」
ふいにきらきら雪のように舞うものがあり、
どうにか手のひらにおさめてみると、それはまるで金平糖。
金平糖って、星のかけらだったの?
そうかもしれませんね、と貴方は笑う。
窓の向こうの虫の声が、奇妙にくるくる回ってる。
寝つけなくて幾度と寝返りをうって、
それもいよいよ嫌になった頃。
「少し散歩に行きましょうか?」
見かねた貴方が僕の手を引き、
気だるげに閉ざされた窓を起こしてこうべを垂れさせたら
彼は僕を抱きしめて、夜の中に飛び込んだ。
まっさかさまの僕たちは、ぐちゃりとつぶれるトマトの時間を遡るみたいに、
きらきら、朱いひかりに包まれて
夜空を特急列車のように駆けのぼっていく。
「寒くありませんか」
涼しい風をシャワーのように浴びる。
夜を往くその朱い龍は、背中の僕を心配した。
「大丈夫、――わ、これはなに?」
「ああ、星のかけらですね」
ふいにきらきら雪のように舞うものがあり、
どうにか手のひらにおさめてみると、それはまるで金平糖。
金平糖って、星のかけらだったの?
そうかもしれませんね、と貴方は笑う。
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