しゅかゆづ てのひら編


 弓弦の髪はくせっ毛で、
 こんな雨の日とかに、ぴょこぴょこと跳ねる
 彼女はそれを気にするけれど、俺からすれば、
 大好きな弓弦の可愛らしい髪を、何度でも整えられる美味しさで。



 眠そうな朱夏をよしよし抱きしめて、
 すりすり僕に甘えてくれることが嬉しくて、
 僕、歌うの下手だけれど、子守唄とかどうかなって。

「弓弦は歌、上手いですよ。歌ってください」

 ……そうかな。でも、貴方がそう言うなら、喜んで。
 そんな、穏やかな夜の中。



 朱夏と飲むお酒が、びっくりするほど美味しい。
 それはきっと。貴方と飲んでいるからこそで、

「ゆづる、ゆづる。俺、あなたが大好きです。愛しています。世界でいちばん」
「うん、ありがとう。僕も……っふふ、苦しいよ」

 意外と? お酒で酔っ払う彼に、いつも以上にすりすりぎゅうぎゅうされて。
 僕の髪がぼさぼさになるくらい、遠慮のない朱夏。
 負けたくない想いで、彼をぎゅうっと抱きしめる。
 僕だって、貴方が大好き。



 魘される貴女の額へ、悪夢を祓うくちづけを。


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