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しゅかゆづ てのひら編

 ふと気づいて、ああ、お昼ご飯はどうしましょうか、
 今日は俺のとっておきオムライスで弓弦をめろめろにさせてあげましょうか、なんて思いましたけれど
 ソファでゆるりと寝ている彼女も、あんまりにも愛おしいので
 その可愛らしい寝顔を眺めながら、オムライスは、もうちょっと後で。



 雨枯れ 星のなく頃 帳なる 貴方の手ひら



 愛しい貴女の寝起き。
 ぴょんと跳ねたベージュの寝癖。



 快晴で真っ先に洗濯日和だなあなんて
 大好きな貴方の衣服たちじゃなかったら、そうは思わないのに。



 本に構うのをやめて、俺と夜空で躍りましょうよ
 それは、俺と貴女が紡ぐ、世界で一番素敵な物語。

「ふふっ、朱夏、僕に構ってほしいの」
「はい、もちろんそうです」

 俺を見上げる赤い瞳を、視線を、意識を
 貴女のすべてを独占したいんです。



 夜は睡魔を寄せるけれど、僕は貴方に沈みたい。



 貴方の温もりとひまわり色の瞳に溶けてなくなる僕のわるい夢。



 僕の言葉が咲いていく、ああほら、すっかり貴方のいろに染まっている。



 睡りのふねでたゆたう水面をそっと揺らした貴女の声。



 貴方の花嫁になっても
 貴方のことが大好きで
 たまに、どうしようもなくせつなくなって

 でも。こんな痛みも含めて
 貴方を愛しているんだって、わかるから。



 ろくに笑うこともできず、手をつなぐだなんて以ての外だった
 僕はそんなんだったなと、今、貴方と手をかさねながら笑いあう
 貴方との初デートの思い出話。



 あの星々をひとつ残らず数えきったとしても、貴女と生きる日々は続いていく。


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