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しゅかゆづ てのひら編

 あくびがこぼれるすきに、
 あむ。
 貴方はあくびごと僕のくちびるを甘噛みし、
 きらきらご機嫌な金眼をいたずらに細める。




 本を読む。わけもなく貴方の髪を撫でる。
 貴方の膝上が僕の特等席。
 抱きしめてくれる腕の力が強くて、このまま潰されちゃうのかも、
 なんて。




 貴女の髪をゆるく三つ編み、リボンは俺の瞳に似た黄色。
 俺だけの愛しい弓弦。その証明。貴女もふわりと微笑む。




 世界に置き去りにされた僕を、
 貴方という一番星が見つけだしてくれたんだ。




 はれの夜空にぱあっとひらく花火にすら、
 ああ、あれは貴方の髪の色のような赤。
 いまの花火は貴方の瞳の色のような黄。
 そんなことばかり考えては、隣で、「どうしました弓弦」と
 花火ではなく僕のことばかり見ている貴方のことを

(すき、朱夏)

 想う。


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