しゅかゆづ てのひら編
ふいに貴方に愛されているのが怖くなる。
貴方はいつだってすぐに僕の手を離してしまえるだろうから。
【臆病】
貴方とゆっくり出来るから。そんな理由で、夜が好き。
【夜】
微睡む夜、貴方の抱擁で目がさめる。
「貴方が愛おしくて、ついうっかり」
すまなそうな顔をする貴方が、僕だって愛おしくて。
【貴方との夜】
ねえ弓弦、今日はキスの日らしいですよ。
そう囁いてみるだけで、可愛い顔を真っ赤にさせる、俺だけの愛しいひと。
「……朱夏」
いいよ、というみたいに、瞼をとじてみせる。
ああもう本当に可愛いな。俺を煽るのが上手いです。
まあ、それじゃあ遠慮なく。――貴方を、いただきます。
【キスの日】
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