龍神さまと花嫁ちゃん(しゅかゆづ)
晴天から小雨が降っている。あれは狐の嫁入り、と誰かが言うかもしれないが、今日のこれは違う。
みなづき神社の龍神と花嫁が、穏やかに笑いあうがゆえに、その幸福をぱちぱちと祝福する晴れの雨だ。永遠を誓ったふたりが、まさしくふたりで永遠を生きているから、天も思わず手を叩く。
ほら、ぱちぱち。ぱちぱち。耳を澄ましてよく聴けば、雨音はいつもより軽やかに弾んでいる。
「弓弦」
「なに?」
「呼んだだけです。愛しています」
「ふふ、そう。ねえ朱夏」
「はい。なんですか?」
「呼んだだけ。だいすき」
みなづき神社の本殿の屋根上――境内や街を一望できる、ふたりのお気に入りの場所。
ふわりほころぶ龍と花。
みなづき神社の龍神と花嫁が、穏やかに笑いあうがゆえに、その幸福をぱちぱちと祝福する晴れの雨だ。永遠を誓ったふたりが、まさしくふたりで永遠を生きているから、天も思わず手を叩く。
ほら、ぱちぱち。ぱちぱち。耳を澄ましてよく聴けば、雨音はいつもより軽やかに弾んでいる。
「弓弦」
「なに?」
「呼んだだけです。愛しています」
「ふふ、そう。ねえ朱夏」
「はい。なんですか?」
「呼んだだけ。だいすき」
みなづき神社の本殿の屋根上――境内や街を一望できる、ふたりのお気に入りの場所。
ふわりほころぶ龍と花。
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