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龍神さまと花嫁ちゃん(しゅかゆづ)

 花嫁は龍神の腕の中。夢心地、穏やかに、もう少しで眠りに浸かる。ふとして寂しい気がした。寝ている間、愛する龍から離れてしまうこと。ただそれだけが、こんなにも。
「あはは、弓弦、大丈夫ですよ」
 けれども龍は優しく笑う。うとうとふねをこぐ花嫁の亜麻色髪を撫で、梳き、ふわりと癖毛の髪先にキスをした。
 龍と花。何百年と生涯を共にしている。これからも何千年と共に生きてゆく。そんな間柄か、龍の鋭さゆえか、愛しい花の寂しさを、龍はお見通しなのだ。
 弓弦、と、龍に再度名を呼ばれ、花は微かに顔を上げた。まどろみの中で、意識だけで。
「貴女の夢に必ずお邪魔しますから。星集めデートに行きましょう、ね」
「……――」
 その声も、言葉も。花嫁を、ひとりにはさせなくて。ゆっくり眠りゆく花は、無意識下に微笑んだ。
(すき、朱夏)
 それではまたあとで。夢の中で。


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