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龍神さまと花嫁ちゃん(しゅかゆづ)

 僕たちは、キスの主導権をかけてかくれんぼをした。かくれていいのは神社のどこか。危ないところはだめ。
 僕がかくれる。朱夏が探す。……すこし考えて、灯台下暗しはどうだろうと思った。つまり、僕たちの寝室だ。毛布をかぶってじっとしていれば、案外、見つからなかったりして。
 たった三分かくれていればいいから――。

「――あははっ、弓弦、みいつけた」
「……みつかってない。僕、いない」
「へえ。毛布が喋っているんですね、不思議です」

 かくれんぼ開始の合図があってから、一分も経っていない。なのに毛布の外には、もう、朱夏の気配。声。朱夏は白々しいふりして、きっと、その金の瞳で僕を覗き込んでいる。

「絶対ここだと思いました。俺、貴女より貴女のことを解っていますから」
「…………そんなこと。全然ない、っわ、毛布とらないで、もう!」

 見透かされたのも負けたのも悔しい。
 無駄な抵抗虚しく、ばさっと毛布は剥がされたし、朱夏のキスにしっかり喰べられた。……つぎはぜったい僕が勝つ。


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