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しゅかゆづ!

 ほら、夜が来たよ。
 宵闇はふわりと宙を舞いつつ、とあるふたりを覗きこんだ。

 赤毛の、ひどく麗しい顔立ち。水無月朱夏、龍神である。そして、ベージュのふわふわ髪に、可愛らしさと綺麗さの両立された顔立ち。水無月弓弦、龍神の花嫁である。

 ふたりは一緒のベッドに横たわり、うつらうつら。抱きしめ合い、微睡み合い。ときおり弓弦が、はっと息をのむ。寝たくない、とぐずるように。すると、朱夏が弓弦を宥めた。優しくくちづけ、背中をさする。

 龍も花も、ゆっくりおやすみ。
 宵闇はふわりと微笑み、みなづき夫婦を慈しんだ。
 朝の光が窓をノックするまで。ゆるり、おやすみ。

「……弓弦の寝顔を見ていいのはこの世でひとり。俺だけです」
 ふいのちいさな、低い声。
 ぎろりと煌めく金の瞳が横目に宵闇を睨みつける。
 偉大なる朱の龍の威圧。ああ、なんと恐ろしい。
 そうして宵闇は寝室から追い出された。おやまあと見上げた夜空に、きらきらきらめく星鳴り。


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