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しゅかゆづ!

 僕は確かに体が強い方ではないし、ここ最近は特に体調を崩している。それにしたって朱夏は僕に過保護だ。なにもできない子どもじゃないのに、

「弓弦、お湯加減いかがです?」
「うん。ちょうどいい」
「それはよかった。髪、俺が洗いますからね」
「……ん」

 お風呂に入るにも一緒だし、髪も体も洗ってもらってしまったし、

「熱くありませんか? 痛かったら言ってください」
「うん。大丈夫、貴方うまいから」
「あはは、まあ、そうですね」

 お風呂あがりには拭きもパジャマを着るのもドライヤーをするのも朱夏。僕は、じっとしているだけ。朱夏の膝の上に座って、心地よくまどろんで。……はあ、もう。

「どうして貴方に甘やかされるのってこんなに安心するんだろう……」
「ん、弓弦? どうしました?」
「ううん、なんでも」

 ぶわーと音を立てているドライヤーのスイッチを切り、僕を覗き込む朱夏。僕は彼を見上げて口のはしをつりあげ、教えてあげない、と内心でいじわるした。我ながら性格が悪い。
 だって、悔しいくらいに、

(もっと甘えたくなってしまう。……たとえば具合がよくなっても、きっと)

 そんなんじゃあいけないのに。でも、……いまさら、だろうか? 僕たちは夫婦なのだから。龍神さまと、その妻。何百年も一緒にいるのに、僕はまだ朱夏にうまく甘えられない?

「朱夏」
「はい、弓弦」
「いつもありがとう」
「どうしたんです、突然。こちらこそ、いつもありがとうございます」
「……おひるは貴方のパンケーキが食べたい、な」
「あはは、珍しいですね。わかりました。愛情たっぷりで作らせていただきますよ」
「ふふ。うん」

 どうだ、甘えてみせたぞと笑って。ちょっと疲れて、朱夏に背中を預ける。身も心も、まだ濡れた髪も、大好きな龍にすべて委ねて。
 体調がよくなったら、今度は僕が、とことん朱夏に過保護になってやろう。朱夏が戸惑ってしまうくらいに。


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