みなづき珈琲(仮)

さくら咲きほころぶ間にも夏風が微熱とともに春を散らした


 ――静かな喫茶店。気に入りの窓辺。見上げれば、立派な桜。散る花の向こうに晴天。レモンティを飲み、ぼんやりと眺める光景。カウンターの奥で、仲睦まじいふたり。
『みなづき珈琲』を経営する水無月夫婦は、今日も春より眩しく緩い。


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