みなづき珈琲(仮)
嘘に嘘ただたわむれに重ねたらいつかまことになりゃしないか
――みなづき珈琲店にも、エイプリルフールの遊びが飛び交っている。レモンティとショートケーキ、すっかり気に入りのふたつを食べつつ、耳をすませば聴こえてくる。
「弓弦さん、弓弦さん〜! チマは決意改めました!」
「うん?」
「チマはこれから、甘いもの禁止です!」
戯れな嘘。私は笑う。だって、聴こえてくるのだから仕方ない。チマの声はよく通る。
そこに、みなづき珈琲の店主、つまり朱夏さんの声。
「それはいいですねえ。あなたなんかに食べ物を作ってやる手間が省けるのは助かります。俺の料理は弓弦のためだけにありますから」
「も〜龍神様、チマよりエイプリルフールがお上手ですねぇ〜」
「は? エイプリルフールもなにもありませんけど」
「えっ」
朱夏さんとチマ。ふたり、いや、二頭? だろうか? チマは見るからに小さな龍、朱夏さんはものすごい龍神なのだとチマから聞いた。
なにしろ、彼らの間にふわりと入り込む弓弦さんが、
「こら。遊んでばかりいない」
落ち着いた声とひとことで龍たちを『はい』と言わせるのだから、さすがだなぁと私は思う。
ああ、レモンティのおかわりでも頼もうかな。
――みなづき珈琲店にも、エイプリルフールの遊びが飛び交っている。レモンティとショートケーキ、すっかり気に入りのふたつを食べつつ、耳をすませば聴こえてくる。
「弓弦さん、弓弦さん〜! チマは決意改めました!」
「うん?」
「チマはこれから、甘いもの禁止です!」
戯れな嘘。私は笑う。だって、聴こえてくるのだから仕方ない。チマの声はよく通る。
そこに、みなづき珈琲の店主、つまり朱夏さんの声。
「それはいいですねえ。あなたなんかに食べ物を作ってやる手間が省けるのは助かります。俺の料理は弓弦のためだけにありますから」
「も〜龍神様、チマよりエイプリルフールがお上手ですねぇ〜」
「は? エイプリルフールもなにもありませんけど」
「えっ」
朱夏さんとチマ。ふたり、いや、二頭? だろうか? チマは見るからに小さな龍、朱夏さんはものすごい龍神なのだとチマから聞いた。
なにしろ、彼らの間にふわりと入り込む弓弦さんが、
「こら。遊んでばかりいない」
落ち着いた声とひとことで龍たちを『はい』と言わせるのだから、さすがだなぁと私は思う。
ああ、レモンティのおかわりでも頼もうかな。