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みなづき珈琲(仮)

 朱夏の手づくりフレンチトースト。ぽかぽかのホットミルク。眠気をゆっくり溶かしてゆく、朱夏と弓弦の穏やかな朝。

「今日は暇だといいですねえ」
「暇がいいの?」
「当然です。暇であればあるほど、貴女とのんびりできますから」
「ふふ、貴方って龍は」

 みなづき珈琲店のみなづき夫婦。朱夏は常に、弓弦にしか興味がない。店をやっているのだって、ほとんど龍神見習いのチマのためで、それは朱夏にとっての親とも言えなくはない、常神たちに頼み込まれたからで。
 それはまたいつか、別の話。

「僕は好きだよ」

 弓弦はふんわりと微笑む。朱夏の大好きな愛しい表情。

「店長さんしているときの貴方も格好いいから」
「……弓弦」

 愛しの愛しの大好きな、世界で一番大切な妻に、そんなふうに言われてしまったら。
 朱夏はもう、ばしっと腕まくりをし、立ち上がり、気合いとやる気に漲って。

「見ていてくださいね、弓弦、今日の俺も格好いいです」
「ふふ、うん。ちゃんと見ているから」


 というわけで、今日は朝から開店のみなづき珈琲店。
 早速、からんころん。お客さんがきて、チマが迎える。
 弓弦のために頑張れる朱夏と、ぴしっとしたカフェ店長すがたの朱夏も格好よくて大好きな弓弦と。
 朝食メニューのフレンチトースト。


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