みなづき珈琲(仮)

「今日はそういう気分じゃないんです」

 みなづき珈琲店の開店休業は、ほとんど朱夏に委ねられている。だから今日はお休みだ。この龍、とても気分屋につき。
 チマのにゃいんに『今日は休みみたい、ごめん』と送る僕を背中から抱きすくめる朱夏が、

「これで一日中、貴女と過ごしていられますね」

 と、すりすり甘えてくるものだから。

「一日中。飽きないの?」
「飽きません。弓弦、貴女は飽きてしまうんです?」
「いや、僕は飽きないけれど」
「そうでしょう。ふふん、飽きさせたりしませんし」

 話をしながらソファに座る僕と朱夏。
 朱夏はあぐらをかき、僕はその脚の上に座る。「軽すぎます」いつもの小言を聞き流す。
 お休み。だから、すっかり肩の力が抜けて、

「『あきないちゅう』……なんて」
「飽きないチュー?」
「あきな、ぁ……んぅ」

 みなづき珈琲店は本日休業だけど、僕と朱夏はあきない中。朱夏とのキスは、まぁ確かに、その……。……ふわふわ。あたたかくて、心地いい。


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