みなづき珈琲(仮)

 ああ。他には何もいらないな、と思うんです。かわいい弓弦がいて。彼女は俺の最愛の花嫁で。笑ってくれたり、むすっとしたり。時には悲しんだり、怒ったり。弓弦が俺の傍で今日も生きてくれている。
「朱夏? なに、顔になにかついてる?」
「いえ、ああ、ええ。赤い瞳が美しく瞬いています」
「……もう」


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