みなづき珈琲(仮)

 みなづき珈琲店は年中有休。開店も閉店もその日次第。
 春の気温より気まぐれなその理由は、

「朱夏、そろそろ起きなきゃだよ」
「でも弓弦。眠いでしょう? まだごろごろ寝ていたいでしょう」
「それは貴方でしょ……ふわあ……」
「あはは、おおきなあくび」

 店の奥。ふたりの住処。ぼんやり暗い寝室と、みなづき夫婦の話し声。
 ふわふわおおきいベッドで、ふたりぎゅっと抱きしめあって。あくびをしたり、まどろんだり、そうやって、なんやかんや起きない。
 そういうわけだ。


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