みなづき珈琲(仮)

 本日休業のみなづき珈琲店。
 弓弦は、ソファに寝転がり、うとうとしながらスマホを操作する。

「む……」

 なにやら苦戦している様子。

「弓弦、なにしているんですか? ……ああ、パズルゲーム」

 そこにひょっこりと朱夏がやってきて、弓弦を当たり前のように抱き上げた。

「それ、めんどくさいときとそうじゃないときと、ムラがありすぎじゃないです?」
「うん……このステージ、全然クリアできない」

 歩きながら話す朱夏と、朱夏の腕の中でスマホ画面をにらむ弓弦。朱夏は寝室に入り、大きなベッドに弓弦をおろした。

「ちょっと休みましょう? 俺とお昼寝とかして」
「ふふ。うん、そうだね」

 かちり。ブラックアウトするスマホと、その黒にかき消される『ゲームオーバー』の文字。スマホはサイドテーブルに置かれ、朱夏と弓弦はベッドに横たわった。
 もふもふの毛布をかぶりながら、ぎゅっと抱きしめあって、心地よく溶け合うぬくもりに吐息する。
 ゆっくりおやすみ、夕暮れまで。


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