溺愛しゅかゆづ夫婦 12

 眠たい朝を乗り越えて
 弓弦の一日が進みだしました。
 寝ぼけ眼で朝ごはんを作っています。
「弓弦、めっ。危ないですよ」
「んん……うん」
 うとうとしていたら、大好きな朱夏に、
 やさしく叱られてしまいました。

「では、行ってきます」
「うん」
「ご飯、ちゃんと食べてくださいね」
「うん」
 朝ごはんを食べました。
 お弁当も持ってもらいました。
 玄関先で朱夏を見送ります。
「朱夏、行ってらっしゃい」
 そっと『行ってらっしゃい』のキスをして、
 朱夏がほわりと笑い、
 名残惜しげに家を出たあとに
 行ってしまった、ちょっとの寂しさとともに
 弓弦の一日は始まります。


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