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溺愛しゅかゆづ夫婦 12

ささやかな喜びからも悲しみも
貴女とわける幸せの日々


「朱夏、これ、飲んでみて」
 弓弦が珍しく、いたずらっぽい顔をしていた。
 差し出された缶ジュースは、ついさっき、弓弦が買ったもの。
 そして、むむむと顔を顰めて飲んだものだ。
「はい」
 いろいろ察しつつ、それを受け取る。
 間接キスを愛しく思い、飲んだジュースは案の定へんな味で。けれど弓弦が飲んでいたものだと思えば実は許せてしまう。
 俺は少し大げさに顔を顰めてみせた。
「まずいですね」
「ふふっ、ね」
 きっとハズレの缶ジュースを買ってしまい、落ち込んでいただろうに、そんな弓弦がくすくすと笑うのが、ひどく愛おしかった。


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