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溺愛しゅかゆづ夫婦 11

唐突の豪雪荒ぶ冬の空
降りしきる白が街を喰らってゆく


 その様子を窓辺から眺めていた僕は、少し、怖いと思った。
 雪の勢いがすごいから。なんだか世界の終わりみたいだから。……いい歳して情けない。それはわかっているけれど。
「大丈夫ですよ、弓弦」
 僕の肩にブランケットをかけてくれて、そのままぎゅっと抱きしめてくれる朱夏が、いつもののんびりした声で言った。僕の感情を見透かした上で、微笑みはしても、馬鹿にはしない。
「明日は晴れるそうですから」
「そうなの?」
「ええ」
 だから安心してください、それに、貴女のことは俺が護りますよ、と――。
 腹立たしいほど格好いいドヤ顔。揺らがない、迷いのない、強い水面が煌めくような声。
 僕は朱夏を見上げた。彼の、黄金色の瞳に、底なしに吸い込まれてゆく。
「ありがとう。……すき、朱夏」
「あはは。俺の方が大好きですよ」
 向き合って、言葉を交わし、抱きしめあった。
 朱夏のおかげで、雪を怖く思ったことなんて、すっかり忘れていた。


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