溺愛しゅかゆづ夫婦 11
終わりゆく如月そっと見送って
寂しさ少しはらりと捲る
「二月もあっという間だったね」
弓弦が呟く。二月の終わり、リビングと夜。卓上カレンダーを、朱夏と一緒に、三月へと。
「そうですねえ」
朱夏はのびのびあくびをした。どことなく寂しげな弓弦を包み込むように抱きしめ、「大丈夫ですよ」と笑う。
「明日は一緒に朝ごはん作りましょうか」
「うん?」
「貴女に寂しい思いはさせません」
「ああ、……ふふ。そこまでじゃないけど、うん、ありがとう」
微笑み合う溺愛夫婦の様子を、卓上カレンダーに描かれた龍のキャラクター、通称『ちみ龍』が見守っていた。
おそらくホワイトデーのためであろう、ホイップクリームに埋もれたイラスト。こころなしか『やれやれ』と、甘ったるいふたりに呆れた、つぶらな瞳。
寂しさ少しはらりと捲る
「二月もあっという間だったね」
弓弦が呟く。二月の終わり、リビングと夜。卓上カレンダーを、朱夏と一緒に、三月へと。
「そうですねえ」
朱夏はのびのびあくびをした。どことなく寂しげな弓弦を包み込むように抱きしめ、「大丈夫ですよ」と笑う。
「明日は一緒に朝ごはん作りましょうか」
「うん?」
「貴女に寂しい思いはさせません」
「ああ、……ふふ。そこまでじゃないけど、うん、ありがとう」
微笑み合う溺愛夫婦の様子を、卓上カレンダーに描かれた龍のキャラクター、通称『ちみ龍』が見守っていた。
おそらくホワイトデーのためであろう、ホイップクリームに埋もれたイラスト。こころなしか『やれやれ』と、甘ったるいふたりに呆れた、つぶらな瞳。