溺愛しゅかゆづ夫婦 11
朱夏がお仕事に行っていて、ひとりきりの家。
軽くお掃除をしていたら、朱夏のボールペンが目に入った。
なんてことはない。テーブルの上のちいさめな収納ボックスに、ちょこんと立てかけられている。きっとそのボールペンの居場所はいつもここで、朱夏が使っては、きちんとここに戻しているのだろう。
(……前に、僕が贈ったやつ)
シンプルな紺色のボールペン。何の変哲もない、それだけの。それでも朱夏はとても嬉しそうに受け取ってくれて、今でも大切に使ってくれている。……そして、
(リボン……)
ついこの間、バレンタインのとき。僕にできるたくさんのことを朱夏にしてあげたくて、僕なりに頑張った。お菓子の入った小袋も贈った。……紺色のボールペンに、きゅっと結ばれているいちご柄のリボン。それはもともと、お菓子の小袋を結んでいたものだ。
ただ、それだけ。目について、気づいて……胸のなかが、ふわふわと暖かくなって。
(朱夏。はやく会いたい)
毎日この家で一緒なのに。結婚して、もう、何年と経つのに。いまなお朱夏が仕事中のこの時間はちょっとさみしく、その上こんな幸せを見つけてしまったら、恋しくてしょうがない。
今日も、夕方には帰ってきてくれるかな。……お昼休みに電話くれるかな。はやく会いたいし、声が聞きたい。この胸のなかの暖かいどきどきが、『朱夏が好き』と繰り返し唄っている。
軽くお掃除をしていたら、朱夏のボールペンが目に入った。
なんてことはない。テーブルの上のちいさめな収納ボックスに、ちょこんと立てかけられている。きっとそのボールペンの居場所はいつもここで、朱夏が使っては、きちんとここに戻しているのだろう。
(……前に、僕が贈ったやつ)
シンプルな紺色のボールペン。何の変哲もない、それだけの。それでも朱夏はとても嬉しそうに受け取ってくれて、今でも大切に使ってくれている。……そして、
(リボン……)
ついこの間、バレンタインのとき。僕にできるたくさんのことを朱夏にしてあげたくて、僕なりに頑張った。お菓子の入った小袋も贈った。……紺色のボールペンに、きゅっと結ばれているいちご柄のリボン。それはもともと、お菓子の小袋を結んでいたものだ。
ただ、それだけ。目について、気づいて……胸のなかが、ふわふわと暖かくなって。
(朱夏。はやく会いたい)
毎日この家で一緒なのに。結婚して、もう、何年と経つのに。いまなお朱夏が仕事中のこの時間はちょっとさみしく、その上こんな幸せを見つけてしまったら、恋しくてしょうがない。
今日も、夕方には帰ってきてくれるかな。……お昼休みに電話くれるかな。はやく会いたいし、声が聞きたい。この胸のなかの暖かいどきどきが、『朱夏が好き』と繰り返し唄っている。