溺愛しゅかゆづ夫婦 10
テレビで見た遠い街のお菓子屋さん
いつか朱夏と行ってみたいな
そんな話を早くしたい 貴方がお仕事の昼
遠い街のお菓子屋さんに行ってみたいと弓弦は話した。
心做しか弾んだ声、
「朱夏とお菓子を食べたり、あったかいもの飲みたい」
ふわふわ微笑む様子が愛おしい。
「では土曜日行きましょう」
「……えっ? でも、遠……」
「ふふん、大丈夫です。俺を誰だと思っているんですか」
びっくり目を瞬かせる弓弦に、胸を張って笑ってみせる。
「どんなに遠くても空をひとっ飛びですよ。俺は龍神ですからね」
美味しいお菓子を食べたり、あたたかいもの飲んだり。楽しみですね、と弓弦の髪を撫でた。
きょとんとした顔が、じわじわ明るく、花咲くように色づいてゆく。ああ、なんて素敵な表情だろう。
「うん」
俺にとっては貴女の笑顔が、一番甘くぽかぽかで美味しい。