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溺愛しゅかゆづ夫婦 10


 おやすみなさいのキスをして弓弦とそっと見つめあうこの幸せ



 朱夏の髪、あっちこっちのひどい寝癖。
 なおしてあげる、……こら、二度寝はだめだよ。

 弓弦の手は健気でちっちゃくてなんだか食べちゃいたいです。
 なあんて、寝癖をなおしてもらって、あと五分だけですから。



 なんとなく買ったミルククレープが思いのほか甘さ控えめで食べやすく、これなら貴女も食べられますよと弓弦にあーんをする。
「あー……ん。ん……」
 ちいさなおくちでちまっと食べる弓弦がとても可愛らしく、俺の口もとはもうふわっふわです。綻んでたまらない。



 お仕事へゆく朱夏を玄関から見送る。
 今年としては、はじめてのこれだ。
 振り向く朱夏の心配そうな目。大丈夫だよと笑う。
 さみしいけれど大丈夫、僕いい子に待っているから。
 行ってらっしゃい、大好きな朱夏。

 ◆

 いつもより早く仕事をぶち切り即帰宅の正月明け、
「おかえり朱夏」と迎えてくれる弓弦のきらきら嬉しそうな笑顔。
 幸せがいっぱいで愛おしく満たされる心。
 大切な大切な俺だけの弓弦と、めいっぱいに抱きしめあった。


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