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溺愛しゅかゆづ夫婦 9

 僕は少しだけ早く目が覚める。
 朝ごはん、作らなくちゃ。そう思いながら、ぼんやりと見つめる朱夏の寝顔。
 今日も朝は、というか部屋は寒いんだろう。そろそろ暖房に頼らなくてはいけないのかも。
 でも、ベッドの中は温かい。朱夏のおかげで。
 僕は朱夏に護られている。こんなにも。

(朱夏――)

 いつ、どんな時に見ても、とても綺麗で見とれる顔。
 僕だけの龍神さまは、かっこよくて強いだけじゃない。『綺麗』って言葉は、きっと朱夏のために存在する。
 ……少し大袈裟だろうか。でも、べつにいい。
 だって、朱夏もいつも大袈裟だ。こんな僕を、かわいいとか美しいだとか。

「んん、ふふっ、ゆづる」
「ふふ……なんの夢を見ているの」

 むにゃむにゃ。朱夏の寝言に、思わず笑ってしまう。
 やっぱり、貴方こそかわいい。綺麗で、暖かい。
 大好きな朱夏に喜んでほしいから、僕はちょっとだけ早く起きて、ごはんを作る。


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