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溺愛しゅかゆづ夫婦 9

「あー、寒いですねえ」

 寝起きのベッドの中。
 弓弦が一緒に起きてきたのをいいことに、遠慮なく彼女に抱きつく。
 寒い寒いと連呼しながら、弓弦をぎゅっぎゅし、頬ずりし、脚もしっかり絡めて、俺たちのあいだには隙間すらない。

「さむいですねえ」
「……朱夏はとても暖かいよ」

 寒くなんてないくせに。
 俺の胸もとに顔を埋めざるをえない弓弦の、淡々とした呟き。彼女は俺に呆れつつ、ちゃんと甘えてくれている。

「ふふ、だって、くっつきたいし絡みたいし愛でたいじゃないですか」
「……ふん」

 あ、素直じゃないモードの弓弦ですね。きっと、まだ眠いんでしょう。
 俺も眠いです、とあくびをひとつ。ぽかぽか暖かい幸せに、瞼を閉じる。


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