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溺愛しゅかゆづ夫婦 9

 ふわあとあくびを垂らす俺のその大口に、
 きめ細やかな美しい指先が、すっと差し込まれたものだから、息が止まるほど驚いた。
 くすくす喉を鳴らす弓弦のさまは、たとえば、立派に澄み渡る冬の夜空のきらきら星。
 彼女の指を甘噛みする俺の歯が、誤って、あくびの勢いのまま皮膚を噛みちぎってしまったらどうしよう、
 ……などとは微塵にも考えていない様子。
 あるいは、そんな過ちがあったとしても、構わなかった。そんな態度。

「朱夏、お昼寝しよう」
「…………」
「少し休も……ひゃっ」

 ふんわり微笑む弓弦の指先。
 それをいたずらに舐めあげたら、彼女は可愛らしい悲鳴をこぼした。
 きっと、驚いたのだろう。くすぐったかったのだろう。そして、恥ずかしいのだろう。
 頬を真っ赤にして睨んできても、ただただ可愛いだけだ。

「ふあい、ゆづう」

 甘噛みしながら、彼女をなおさらからかいながらに応える。
 もちろん、わざと。悪戯心だ。


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