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溺愛しゅかゆづ夫婦 9

 べつに、いつもは雨だっていいって言っているのだ。
 今日もこんなにひどい雨。でも、べつに構わない。
 どうして朱夏とデートの約束をしたこの日に。
 でもべつに、構、かまわな、

「そんなに落ち込まないでください。弓弦。家でもデートはできますよ。ね」
「…………うん」

 頭を撫でてくれる朱夏が優しいから。
 大丈夫って笑って、次の休日には、って。また新しいデートの約束もしてくれるから。
 だから、いい。許してあげる、空気の読めない雨。


「閃きました。俺が雨雲ごと燃やし尽くして晴れにさせればいいのでは? ちょっくら行ってきま――」
「だめ」

 龍のすがたになろうとする朱夏を、ぎゅっと抱きしめて止めた。


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