溺愛しゅかゆづ夫婦 8
特に、なにもない。僕も朱夏も、ぼーっとしている。ソファに座って、身を寄せながら。交わす言葉も今はない。
ただそれだけのことが、僕の心を充たす。優しくて、幸せだと思う。朱夏も、僕と同じ気持ちなら、いいな。
三色団子。緑色のところが黄色になった、お月見仕様。僕は、あったかいお茶を飲みながら、眺める。朱夏がお餅をもきゅと噛んで、みょんっと伸ばしながら食べる。もぐ、もぐ、こく。どうしてそう、格好いいんだろう。
職場から、貰いもので、くるみを持たされました。弓弦に渡してみると、せっかくだし食べてみよう、なんて話になって。
「んー。朱夏」
「はい」
「貴方の作ってくれたホットミルクが美味しい」
俺の勝ちが決まりました。
疲れた体に、あたたかいお風呂。朱夏と一緒にバスタブに入って、ゆっくりしよう、と思っていたのに。
「ぁ……っ」
「ふふ、弓弦、腰がぴくんってなりましたよ。可愛いですね」
「うぅ、うるさ、ひぁっ」
しゅかのばか。
弓弦、ほら弓弦。もうそろそろ寝なくちゃですよ。
貴女の体が心配です。
「でも、朱夏。今いちばん、いい所で」
はあ。面白いんですか、その本。
……そんなにしょんぼりしないでください。じゃあ、もう少しだけですよ。