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溺愛しゅかゆづ夫婦 8

「弓弦、今日はホットココアを作ってみました」

 まったりとした夜の時間。
 朱夏はそう言って、僕にマグカップを渡してくれた。
 ふわり、甘い香り。ほんとうだ。いつもははちみつ入りのホットミルクだけれど、今日はホットココア。
 マグカップの中で、白色と茶色が混ざりあう。

「なにか面白い番組ありました?」
「ううん、特になにも」

 ソファに座っている僕の隣。おそろいのいちご柄のマグカップを持ち、朱夏も座る。
 何気ない言葉を交わしながら、ふたりして、そっと肩を寄せあった。
 カップのふちに口をつけ、ホットココアを飲む。それも、ほとんど同時。気づいて、見つめあって、笑い合うのも、不思議と一緒。
 ……それじゃあ、もしかして。甘いココアにほっとして、貴方とキスをしたくなるのも。

「弓弦」
「ん……」

 ちゅ、と優しいキス。
 ああやっぱり。嬉しくて、つい笑ってしまう。
 朱夏も、満面の笑みを浮かべてくれた。


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