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溺愛しゅかゆづ夫婦 8

 朱夏が仕事を早めに上がってくれて、一緒に散歩がてらの買い物に出かけた。夕刻。
 ぎりぎり青い空にうろこ雲がつらなっていたので、なんだか、秋だなあとしみじみ思っていたら。

「弓弦、弓弦。俺の龍鱗の方が、とびきりかっこいいですよ」

 すぐ隣の朱夏が、急にそう言って、僕を覗き込んだ。すねた子どもみたいな眼差し。つないだ手に、きゅっと力がこもっている。
 ……ええと。ああ。つまり、やきもちしたのか。うろこ雲に。朱夏は今すぐ龍のすがたになりたがる。
 だから僕は、彼の手を握り返して、やきもちやきな龍神さまへと微笑んだ。

「比べるまでもなく、貴方がかっこいいよ」

 途端、嬉しそうにきらきら輝く、ひまわり色の瞳。


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