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溺愛しゅかゆづ夫婦 8

ぼうっとする 時間は過ぎる ねむれずに
貴方の声が そっと僕に降る

 朱夏は僕を優しく抱きしめて、言った。「眠れなくたって大丈夫ですよ」と、けっして僕をひとりにしない。僕は貴方に救われてばっかりだ。ねえ、朱夏。僕のために一緒に起きてくれていて、ありがとう。



ゆううつだ あれもこれもと わがままを
うつむく僕を抱きしめる貴方

「そんな日もありますよね」なんて、朱夏は僕を甘やかした。そんな日もある、と許されて、いいの? 僕はただのぐうたらで。なのに、貴方は僕の目を見つめて微笑む。「弓弦はいつもたくさん頑張ってくれていますよ」……どうして貴方って龍は、まるで僕の心が読めるみたいに、僕を支えてくれるの?



言交わす 暁降ち 眠くなり
いま寝台へ 貴方と戻る

 三十分だけ……。起きたらごはん作るから、心配しないで。ねえ朱夏、貴方、僕を寝かして起こさずにごはんもお弁当も作ってしまうつもりでしょう? なんでって貴方の微笑みを見ればわかるよ、僕は貴方のお嫁さんだ。――抜けがけ禁止。



寒がりの貴女を腕に抱きしめて
ぽかぽかですね おひるねですね

ぽかぽかで おひるねしたい そんな腕
僕を運んだ貴方と一緒に

 どんな寒い日も朱夏の腕の中ならぽかぽかで心地よくて、まるでお日様に包まれるみたいだ。でも貴方はやきもちな龍神さまだから、『日差しより俺の方がぽかぽかですよ!』なんて言うかも、と思って笑った。一緒のベッドと毛布、「弓弦なに笑っているんですか」と貴方も笑う。



休日を 貴方と眠って 過ごしたら
すこしおでかけ 夕彩どきに

 僕を夕方デートに誘った朱夏は、僕より僕のしたくをてきぱきと、楽しそうにしている。僕の髪を梳かし、きれいに編み、「外は寒いですから」と、とてもあたたかい格好をさせる。赤と黄色がかわいらしく織り交ざるマフラーは、僕のお気に入りだ。夕陽が傾き、夜はすぐ。なんでも格好よく着こなす朱夏と手をつなぎ、ちょっとそこまで。



ぼうっとして じわりじわりと あつくなる
貴方との余韻 貴方の微笑み

 朱夏はあとの時間も僕に尽くしてくれる。それはもう、とことん……あつい頬がぜんぜん冷めない。なにからなにまで、どこまでも、朱夏は僕を愛してくれる。大切にしてくれる。胸がどきどきして、せつないくらい、たまらなく幸せで。ねえ朱夏。僕だって、そんな貴方に負けないくらい、貴方が愛しいよ。愛しい余韻。愛しい笑顔。


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