溺愛しゅかゆづ夫婦 8
いちいちぜろなな。いいおなか。
なるほど、人間って本当にこういう語呂合わせが好きらしく、とっても助かります。ええ、俺は助かっています。
「お、おなか……? いいけど……」
今日はいいおなかの日だそうなので、貴女のおなかを見せてください。
と、包み隠さず言えば、弓弦は困惑しながらも服をめくってくれるわけです。
……。お願いをしたのは俺ですし、いいと言ってくれるのも嬉しいですし、ここは俺たちしかいない俺たちの家の中ですから、いいんですけども。弓弦、億が一にも『いいおなかのひ』で頼まれたからって、他人にまで服をめくってしまってはだめですよ。
そんなことはないでしょうけどね。わかっています。これはあくまで俺だけの特権。ああ、めちゃくちゃ嬉しいですねえ。
「朱夏……その」
「はい」
「楽しいの? これ」
「はい、とても」
ソファに仰向けの弓弦を見下ろしています。
彼女の、真っ白で繊細な肌、いいおなかに触れて、撫でて、堪能して……味わって。
終始困惑中の弓弦が、たまに、くすぐったそうに反応したり、まぶたを閉じるので、俺も困りました。これ、ただ、いいおなかを楽しむだけ……では、たぶん済まないですね。すみません、弓弦。
それにしても、細い。薄い。つまむところがない。臓器とか、ちゃんとここに入っているんでしょうか。いつだったか、そんなことをぽつんと口にしてしまって、弓弦を拗ねさせてしまったことがあります。ですから、だいぶ意識して口を閉ざしていますけど、
本当に細くて薄っぺらくて、どうしても心配になってしまいますね。毎日毎晩毎回。今日の夜ごはん、弓弦がシチューを作ってくれたのですが、少食な弓弦ももうちょっと食べてくれるように、なんとかこう。うまくお願いしたいところです。
「ねえ、朱夏」
「なんですか?」
「僕も、その、ええと……貴方のおなか、触ったり見たりしたい」
「…………」
だめ? って、あんまりにも可愛らしい上目遣い。少し不安そうで、恥ずかしそうで、心地よく揺らぐ声色。
俺は、くらっとした衝動をおぼえ、つい黙り込んでしまいました。弓弦が、だめならいい、としょんぼりしてしまう。慌てて首を横に振りました。
いいえ! だめとかではないですけど、
「あのですね、弓弦。俺ばかり貴女を堪能していて、本当に申し訳ないのですが」
「……? うん」
「……結構、煽られています。俺」
「へ?」
「貴女のおなかがきれいで、触るたびの貴女の反応がとても愛おしくて。それでいて、そんな、おねだりまでされてしまったら、ちょっと」
いいおなかを楽しむだけでは多分済まない、けれど、せめて夜寝る前までは我慢していようと思っていました。
それが、『今すぐ』になってしまいますね……。
「っ……じゃあ」
「ですから弓弦。俺のおなかは、今夜のおたのしみに」
「いいよ、朱夏」
「……はい?」
「い……今すぐで、いい。それなら僕も、貴方のおなかが見れるし」
貴方だけずるい、って。いえ、俺の話聞いていました?
弓弦は俺の手を引っ張り、改めて、自分のお腹に触れさせる。さすさす、俺の手のひらに撫でさせるだけの行動が、どうしようもなく俺を煽ってみせた。重い鈍器で頭を殴られたかのような衝撃と、その反動。
はあ、弓弦――。
「…………文句は明日まで受け付けませんよ」
「……だいぶ怖いこと言ったな。まあ、うん、煽った自覚はあるし……」
あるんですか。めずらしい。では、手加減はいりませんね。もちろん、大切にいたします。それは約束します。
弓弦の上に影をつくる。弓弦も弓弦で、ふんわりと微笑んでくれたり、俺を受けいれるように腕を広げてくれたり、腹をくくったからなのかちょっと積極的で。俺の理性は、どろどろに溶けてしまいそうです。
……あ、シチュー。せっかく弓弦が作ってくれたのに、あつあつ出来たてのうちには食べられなさそうですね。
まあ、俺と貴女はいつでもあつあつなので、シチューがちょっとくらい冷めてしまっても、きっと大丈夫ですよね。
「……朱夏のおなか、本当にかっこいいね。細いのに、しっかりしてて……ずるい」
貴女に褒められるのはとてもいい気分なのですが、ずるいのは貴女の方ですよ、弓弦。
いろいろと。
なるほど、人間って本当にこういう語呂合わせが好きらしく、とっても助かります。ええ、俺は助かっています。
「お、おなか……? いいけど……」
今日はいいおなかの日だそうなので、貴女のおなかを見せてください。
と、包み隠さず言えば、弓弦は困惑しながらも服をめくってくれるわけです。
……。お願いをしたのは俺ですし、いいと言ってくれるのも嬉しいですし、ここは俺たちしかいない俺たちの家の中ですから、いいんですけども。弓弦、億が一にも『いいおなかのひ』で頼まれたからって、他人にまで服をめくってしまってはだめですよ。
そんなことはないでしょうけどね。わかっています。これはあくまで俺だけの特権。ああ、めちゃくちゃ嬉しいですねえ。
「朱夏……その」
「はい」
「楽しいの? これ」
「はい、とても」
ソファに仰向けの弓弦を見下ろしています。
彼女の、真っ白で繊細な肌、いいおなかに触れて、撫でて、堪能して……味わって。
終始困惑中の弓弦が、たまに、くすぐったそうに反応したり、まぶたを閉じるので、俺も困りました。これ、ただ、いいおなかを楽しむだけ……では、たぶん済まないですね。すみません、弓弦。
それにしても、細い。薄い。つまむところがない。臓器とか、ちゃんとここに入っているんでしょうか。いつだったか、そんなことをぽつんと口にしてしまって、弓弦を拗ねさせてしまったことがあります。ですから、だいぶ意識して口を閉ざしていますけど、
本当に細くて薄っぺらくて、どうしても心配になってしまいますね。毎日毎晩毎回。今日の夜ごはん、弓弦がシチューを作ってくれたのですが、少食な弓弦ももうちょっと食べてくれるように、なんとかこう。うまくお願いしたいところです。
「ねえ、朱夏」
「なんですか?」
「僕も、その、ええと……貴方のおなか、触ったり見たりしたい」
「…………」
だめ? って、あんまりにも可愛らしい上目遣い。少し不安そうで、恥ずかしそうで、心地よく揺らぐ声色。
俺は、くらっとした衝動をおぼえ、つい黙り込んでしまいました。弓弦が、だめならいい、としょんぼりしてしまう。慌てて首を横に振りました。
いいえ! だめとかではないですけど、
「あのですね、弓弦。俺ばかり貴女を堪能していて、本当に申し訳ないのですが」
「……? うん」
「……結構、煽られています。俺」
「へ?」
「貴女のおなかがきれいで、触るたびの貴女の反応がとても愛おしくて。それでいて、そんな、おねだりまでされてしまったら、ちょっと」
いいおなかを楽しむだけでは多分済まない、けれど、せめて夜寝る前までは我慢していようと思っていました。
それが、『今すぐ』になってしまいますね……。
「っ……じゃあ」
「ですから弓弦。俺のおなかは、今夜のおたのしみに」
「いいよ、朱夏」
「……はい?」
「い……今すぐで、いい。それなら僕も、貴方のおなかが見れるし」
貴方だけずるい、って。いえ、俺の話聞いていました?
弓弦は俺の手を引っ張り、改めて、自分のお腹に触れさせる。さすさす、俺の手のひらに撫でさせるだけの行動が、どうしようもなく俺を煽ってみせた。重い鈍器で頭を殴られたかのような衝撃と、その反動。
はあ、弓弦――。
「…………文句は明日まで受け付けませんよ」
「……だいぶ怖いこと言ったな。まあ、うん、煽った自覚はあるし……」
あるんですか。めずらしい。では、手加減はいりませんね。もちろん、大切にいたします。それは約束します。
弓弦の上に影をつくる。弓弦も弓弦で、ふんわりと微笑んでくれたり、俺を受けいれるように腕を広げてくれたり、腹をくくったからなのかちょっと積極的で。俺の理性は、どろどろに溶けてしまいそうです。
……あ、シチュー。せっかく弓弦が作ってくれたのに、あつあつ出来たてのうちには食べられなさそうですね。
まあ、俺と貴女はいつでもあつあつなので、シチューがちょっとくらい冷めてしまっても、きっと大丈夫ですよね。
「……朱夏のおなか、本当にかっこいいね。細いのに、しっかりしてて……ずるい」
貴女に褒められるのはとてもいい気分なのですが、ずるいのは貴女の方ですよ、弓弦。
いろいろと。