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溺愛しゅかゆづ夫婦 8


麗しい 薬の香りのそのひとは 優しく笑う 奥様だけに



にこり笑む あこがれのひと 愛想だけ ほんとの愛は 奥様にだけ



朱夏、貴方は格好いいから 僕なんて ふとした不安を貴方が消し去る



「もてもてだね」弓弦がつぶやく ふくれた頬 やきもちですか 愛しいですね



俺にとって 愛も恋も 弓弦だけ ほかの目なんて 雑踏と同じ



「貴女だけ」まっすぐ見つめる弓弦の目 きらきらまたたく 愛しいひと



「貴女だけ」まっすぐな瞳に魅入られて 貴方はずるい そんなとこも好き



やきもちの そのあとはほら 甘いデート

 たとえば、用があって朱夏の仕事場に行くと、明らかに周囲からの目が痛い。近所を朱夏と歩いているだけで、いろいろな視線が朱夏に集まる。
 彼はそれだけ見た目がいい。だから、仕方がない。そんなとき、朱夏は僕の手を握り、あるいは僕を抱き寄せて、周囲をぎろりと睨みつける。いや、貴方が注目されているんだよってなる。……うれしい、けれど。
 とにかく、朱夏はもてもてだから、僕としてはたまに不安になって――そのたび朱夏本人に、まっすぐな視線を注がれながら言われるのだ。
『弓弦、俺は貴女だけですよ。貴女以外に興味はありません』
 うれしくて。そんなことを言わせてしまったのが、申し訳なくて。でも朱夏は満面の笑みで、『やきもちな弓弦も可愛いですね』なんてことも言う。……じゃあ、いいか。僕の心まで、しっかり支えてくれる。
「寒くないですか?」
「うん、大丈夫」
「よかった。なにかあったらすぐ言ってください。俺が貴女を護りますから」
「ふふ、うん。ありがとう」
 心配性な龍。大丈夫だ。今日は、いつもより体調がいい。
 そしてなにより、貴方とのデート。わくわくして、どきどきして、浮かれてしまう。いつもこうだ。僕は、朱夏が好き。
 貴女だけと断言してくれる貴方のために、僕は頑張るから。
 どうかずっと僕だけを見ていてね。僕の大好きな旦那さま。


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