溺愛しゅかゆづ夫婦 8
手をつなぎ 頬を寄せあう いい夫婦
あなたを愛し あなたに愛され
龍いちご 弓弦の赤い目のようで
貴女は言った「それより僕をたべて」
真っ赤な杯 黄金の模様 さかずきを
ふたり飲み交う まいにち初婚
ねえ貴方ご機嫌だねと笑ったら「貴女もでしょう」と抱きしめられて
どんな苦難も困難さえも朱夏となら貴方を信じてついていけるよ
愛しい弓弦と飲みかわす美味しい酒にふんわり酔って貴女の膝まくら
膝まくら ほろよい朱夏の髪を撫でて いつもありがとう これからもよろしくね
今日もまた 日付けが変わって ホットミルクを
ふたりはそっと肩を寄せあった。
ゆったりくつろぐソファで、朱夏は弓弦へ、弓弦は朱夏へ。愛する眼差しを惜しまず向ける。
おそろいのマグカップはいちご柄。ふたつくっつけるとハートの絵が浮かび上がる。そこに、ぽかぽかのはちみついりホットミルク。ふたりは愛で満たされて、ちょっとの隙間もないほどだ。
夜が深まり、『良い夫婦の日』は終わってしまったけれど、お互いを尊重し、溺愛し合うふたり――『良い夫婦』に終わりはない。
「弓弦」
「朱夏」
名を呼ぶ声も、ぴったりかぶって。『あっ』と目を丸くさせ、それから笑い合うところまで、ずっと一緒で。
「いつもありがとう」
「こちらこそ。これからもよろしくお願いします」
「うん。……朱夏」
「弓弦。愛しています」
「あ、ずるい。先に言おうと思ったのに」
「あははっ」
毎日、毎秒、運命のひとに廻りあったときの眩さを想っている。そんなふたりが、惹かれあうように重ねた唇は、とろけるように心地よく。
いっしょの、はちみつホットミルクの甘い味がした。