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溺愛しゅかゆづ夫婦 7

 最近の朝は寒い。身に染みてわかったから、
 ベッドの近くにもふもふであったかい上着を用意して、なるべく朱夏にくっついて寝て、
 ……よし。おはよう、大丈夫。
 今日は朱夏より早く起き上がれた。

 それでもやっぱり寒いは寒いから、朱夏がプレゼントしてくれたもふもふをしっかりと着て
 お湯を沸かし、ティーカップは、ふたりぶん。そっと淹れるミルクティの、やさしい香り。
 僕と朱夏のぶんのミルクティを持って、寝室に戻ったら、

「おはようございます、弓弦。大丈夫ですか?」

 朱夏が、ちょうど起きていた。まだまだ眠たそうで、なのに、まっさきに、僕が寒くないかの心配をしてくれる。

「おはよう朱夏、大丈夫。これ、一緒に飲もう」
「……作ってくれたんですか?」
「うん」
「そうですか。弓弦」

 ぽかぽかのティーカップを、サイドテーブルに置く。
 うれしそうに微笑んだ朱夏が、僕をぎゅうっと抱きしめてくれる。そのまま、ぐいぐい、引っ張られて。

「こら、朱夏、寝ちゃだめだよ」
「ん〜〜あと五分。貴女をぎゅうしていたいんです」
「……もう」

 しかたないな、五分だけだよ。
 本当に五分で起きるかな、なんて思いつつ。朱夏を抱きしめて、寝癖に跳ねた彼の赤い髪を、よしよしと撫でた。
 ミルクティの甘い香りが僕たちを包み込む。
 貴方と僕とで溶け合う、暖かくてあまい体温。


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