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溺愛しゅかゆづ夫婦 7

 そんなところもかわいい、愛おしいって話なんですが、弓弦はガードの緩いときがあります。
 弓弦、もともと男だったので。ナンパ目的で近づいてくるゴミ屑どもや、妙に距離の近い男に対し、『警戒する』ことが足りないんです。
 それを弓弦に言ったら、『僕はちゃんと警戒しているし気をつけているよ』と頬をふくらませてしまうんですが。そんなところも本当にかわいい、……いえ。
 心配なんです。かわいいな。心配かわいい。


 このまえ買った可愛らしい服を、弓弦に試着してもらっていたときの話です。

「ねえ朱夏。僕、本当に似合ってる?」

 自宅のリビング。不安そうな声。俺は、「もちろんです」と即答する。
 少し短めなスカート、ロングのソックス。ふわっとした白練色のニット。俺の見立て通り、とても似合っていて、美しくて可愛らしい。
 そんな弓弦が、

「スースーすることにも、だいぶ慣れたけれど……」

 とぼやいて、身じろぐ物音が聞こえて。本当に素晴らしく似合っているのに、本人はきっと不安げな顔なのだろうと、俺は振り向きました。
 そうしたら。

「ゆっ、弓弦!」
「なあに?」
「ちょっ、座り方、駄目ですよ!」
「? ああ……」

 短いスカートなのに、彼女は、さらっと体育座りなんてしてしまって。際どい感じに下着が見えてしまうわけです。あわてふためく俺をよそに、弓弦はしれっとしてばかり。
 体勢を変えようとして、あぐらを。いやいや、ちょっと! 俺は思わず声を荒らげ、彼女を両手に抱き上げる。
 細くて小さな弓弦の体は、猫みたいにひょいっと持ち上がる。とても軽い。「わっ」と目を丸くし、俺の首に腕をまわす無意識が、とんでもなく愛おしい。けれど。

「もう、貴女ってひとは、だから気をつけてください。俺以外のやつの前でやっちゃだめですよ」
「む……そもそも、貴方以外の前で、スカートも履かない」
「おへんじ」
「わかった」

 わかってくれたのならいいんですが。本当にガードが緩くて、心配になります。真面目なひとなのに、こういうところ。もっと自分を大事にしてほしい。
 そのまま弓弦をお姫様だっこして、ぎゅうっと抱きしめて。「ごめん」と謝ってくれる弓弦に、大丈夫ですよと頬ずりをした。

 何度だって言いたいので言うんですが、こんな弓弦も本当にかわいい、愛おしい、でも心配だし護ってやりたいし。
 そんな話です。


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