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『煙のにおいとないすばでぃー』

男は、3階建くらいの廃ビルの様な所に車を止めた。

所々鉄筋が出ていたり、コンクリートがはげているところがあったりと、見た目は完全に廃墟の様だった。

本当に、もう着いた....と思って車の窓から上を見ていると、扉が開いた。


「おい、見たいなら後でゆっくり見せてやるから。とりあえず降りろ。」


少しかがみこんで呆れた様な笑顔を向けてくる男に、自分が何も知らない小さいガキみたいに思えて恥ずかしくなった。

言われた通りに急いで車から降りると、奥に扉があるのが見える。

男は車のドアを閉めて、俺に着いてこいと合図をして扉に向かって歩き始めた。

ピッ、と車に鍵がかかる音がして、俺もキョロキョロと辺りを見ながらついていった。





男が慣れた手つきで鍵をさしてガチャリと扉を開くと、ひゅっ、と何かが飛んでくるのが見えた。

男は驚く素振りもなくそれを顔の前で掴む。

びっくりして頭を抱えてしゃがみこんだ俺に大丈夫かと声をかけてから、何かが飛んできた方へ 何をする、と声を投げた。


すると、





「おっそいのよこの馬鹿!今何時だと思ってるの!?」


朝帰りだなんて信じらんない!と怒りを露わにしてツカツカと近づいてくる人がいた。

その人は、薄いクリーム色の髪をふわふわとなびかせた美しい女性だった。

しかし、その女性を見た瞬間、俺は思わず目を背けた。


「ジーナ。お前またそんな格好で....」


呆れた様に声を洩らす男に 何よ、と強い姿勢を見せる。

ジーナ、と呼ばれた女性は、黒いピッチリとした服を着ていて、薄く筋肉のついた腹部と胸を大きく露出させ、下は太ももの付け根ぐらいまでしかないすごく短いデニム生地の青いショートパンツを履いてた。

...16歳の俺にはまだ早い。

熱を発する頰を片手で覆い隠し、真っ赤になっているであろう顔を俯かせる。





「あら?随分とまぁ大きな拾い物をしてきたのね」
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