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『ロウのサービスと5発目の弾』

午後になった。

いつもの、あの練習が始まる。

ロウはいつもの様に俺の手、足首にあの錘をつけさせ、実弾と銃を持たせた。





この練習に、新たなルールが追加された。

今まではペイント弾だったものが実弾に変わったし、弾が尽きたり銃を落とせばそこまでだったのも、体術でロウを組み伏せられればそれもまた可だというのだ。

俺のやる気は倍以上に跳ね上がった。


銃では長年のプロであるロウに勝てる自身が薄かったものの、俺はどうやら身軽ならしい。

体術ならば得意だ。

まぁ、いちばんの問題としては追いつけるかどうかなのだが....





「よぉい、」


気の抜けた声が響く。

八咫が弾の入っていないピストルを上に向けて合図する。

俺とロウは、お互いじっと睨み合う。

今日こそは。


パァン!と弾ける音と共に、両者一斉に動き始める。

俺が銃を抜き、構えると、ロウの銃口はすでに俺の頭へ向いていた。

ハンマーにかけた指を外し、銃を下げて片手で左へ回転しつつ弾を避ける。

ロウの放った弾は、僅かに俺の髪をかすめて床へ深く突き刺さる。

横では八咫がヒュウ!と得意げに口笛を吹き冷やかしてくるが、今はそれに気をやっている暇はない。


左、右と足を付いて、姿勢を立て直しつつロウを狙う。

反動で撃ち放った弾はロウの背中を追いかけるが、硬いコンクリートの壁に阻まれチンっ、と音を立てて少しの煙をたてながら落ちた。


チッ、と短い舌打ちをして、足に力を込めてロウを追いかける。

呆然と立ち尽くす八咫の横を通り過ぎ、ロウの足音が消えてしまわないうちに走りだした。
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