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『狼の瞳と背中のいんく』

朝起きて、ベッドから降りてリビングへ向かう。


「おはようコハ。紅茶でも淹れましょうか?」


扉を開けると、いつもジーナが一番初めに起きて俺たちを待っている。


「うん、お願い。」


椅子に座って、カウンターの方を見る。

そこに、優しく微笑んでくれるジーナの姿はなかった。

朝の、紅茶のフランボワーズとジーナの柔らかな甘い香りが混ざる瞬間が好きだった。

あぁ、そうだ。

と声をもらし、椅子から立ち上がりカップを取りに行く。

もう、彼女はいない。





ジーナが帰ってこなくなってから、数週間が経った。

ロウは、あれから仕事をあまり取らなくなった。

最近はよく俺に構ってくれる。

嬉しいけど、たまにふと遠くを見てる時があって、少し怖い。





ロウには、俺がどう見えてるんだろう。

仕事に使える様にする、と豪語していたけれど、実際に俺を仕事に連れて行ったことはないし、俺も本物の人を撃ったことはない。

俺は、ちゃんと仕事をできるだろうか。





「(俺は、ジーナの代わりができるんだろうか.....)」
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