②若きバンパイア
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7章
あの恐怖の晩から夜が明けてから、Mr.タイニーは、シルク・ド・フリークを去っていた。
そして今朝から、私たちのリトル・ピープルの世話が始まった。……この生き物、本当によく食べる。一言も発さず、黙々と、ひたすら食べるだけ。まるで生きた空っぽの器を相手にしてるみたいだった。
今日からショーも再開された。なんとクレプスリーのショーにダレンも出演することに。人手不足が深刻だそうで、私も幕間にお土産を売る仕事を請け負うことになった。
「顔は真っ青、服はボロボロ、お前ほどの適任もいまい」
そう言われてダレンの服装を見てみると確かにそうだ。人間の血を飲んでいないせいでかなりやつれていた。
そういえば、この前遊びに来ていたサムという男の子と、エブラとダレンが森で出会ったというR.V.という男が、今日はショーを見に来るらしい。
ショーが始まり、いつも通り演目が進んでいく。
客席を見渡せば、すぐに招待客が誰か分かった。金髪の男の子と、隣には図体のでかい毛むくじゃらの男。あれがR.V.に違いない。
クレプスリーの出番。そして続いて、マダムを抱えたダレンが現れた。練習通り、ダレンの笛の音色でマダムが動き始める。
ショーが終わってからダレンの姿が見当たらなかった。クレプスリーは「知らん」の一点張り。エブラと2人で探していると、終演後も近くに残っていたサムとR.V.に出くわした。
「あなたがサム・グレスト?」
突然声をかけると、サムはびくっとして振り向いた。
「うわっ、びっくりした……!えっと、そうだけど……君は?」
「ネア・クローフィールド」
淡々と名乗ると、サムはじっと私の顔を見て固まった。
「……うわぁ……お人形さんみたい。なんか、すごく綺麗で……えっと、話しかけても大丈夫なタイプの人かな……?」
「別に。でも、見た目で判断すると後悔するかもよ」
ぴしゃりと返すと、サムは少し目を泳がせて、慌てて笑った。
「い、いや、そんなつもりじゃ……!ただ、ちょっと、ドキッとしちゃって……!僕たち前に草むらで目が合ったよね?その時から実は僕、」
「ストーーップ!サム、それ以上はアウト!」
そこへ、後ろからエブラの声が飛んできた。いつの間にか後ろに来ていたエブラが、半笑いで間に割って入ってきた。
「ネアにそういうの通じないから。というか、刺さる前に撤退な?」
「えっ、あ、ごめんネア、そういうつもりじゃ――」
「……気にしてない」
私はそっけなく答えた。ほんとはちょっとだけ、動揺してた。でもそれを見せるわけにはいかない。
「サム、ネアに変な印象持たれたくなかったら、少しは慎重にいこうな?」
「う、うん……気をつける……」
エブラの苦笑混じりのツッコミに、サムは気まずそうに後頭部をかいた。
一方、隣のR.V.はというと、挨拶もそこそこにウルフマンや蛇について質問攻めしてきた。
「それって、いつも檻に入れているのか?」
「ヤギは本当に殺したのか?」
(――この人、動物愛護団体か何か?それなら少々厄介かも)
ヤギは元々肉屋から仕入れたものだから……と、エブラが上手く言いくるめたけど、R.V.の表情はどこか納得いかない様子だった。が、やがて夜も更けてきたので、2人には早めに帰るよう伝えた。
「R.V.って、愛護団体の人なの?」
「環境戦士、だな。近くの建設現場の邪魔をしに来てるらしい。あと1、2日でいなくなるとは思うけど、気をつけておいた方がいいな」
「R.V.にサーカスの中を見せたのは、悪手だったかもね」
「ああ、まったくだよ。ダレンが気を利かせてチケット渡したばっかりに……!」
「そのダレンが、ショー終わってから行方不明ってどういうことよ……」
何か問題が起きなければいいけど――そう思いながら、私たちはショーの片付けに戻った。
けれど、この場所に待ち受ける結末が平穏なものでないことを、まだ誰も知らなかった。
あの恐怖の晩から夜が明けてから、Mr.タイニーは、シルク・ド・フリークを去っていた。
そして今朝から、私たちのリトル・ピープルの世話が始まった。……この生き物、本当によく食べる。一言も発さず、黙々と、ひたすら食べるだけ。まるで生きた空っぽの器を相手にしてるみたいだった。
今日からショーも再開された。なんとクレプスリーのショーにダレンも出演することに。人手不足が深刻だそうで、私も幕間にお土産を売る仕事を請け負うことになった。
「顔は真っ青、服はボロボロ、お前ほどの適任もいまい」
そう言われてダレンの服装を見てみると確かにそうだ。人間の血を飲んでいないせいでかなりやつれていた。
そういえば、この前遊びに来ていたサムという男の子と、エブラとダレンが森で出会ったというR.V.という男が、今日はショーを見に来るらしい。
ショーが始まり、いつも通り演目が進んでいく。
客席を見渡せば、すぐに招待客が誰か分かった。金髪の男の子と、隣には図体のでかい毛むくじゃらの男。あれがR.V.に違いない。
クレプスリーの出番。そして続いて、マダムを抱えたダレンが現れた。練習通り、ダレンの笛の音色でマダムが動き始める。
ショーが終わってからダレンの姿が見当たらなかった。クレプスリーは「知らん」の一点張り。エブラと2人で探していると、終演後も近くに残っていたサムとR.V.に出くわした。
「あなたがサム・グレスト?」
突然声をかけると、サムはびくっとして振り向いた。
「うわっ、びっくりした……!えっと、そうだけど……君は?」
「ネア・クローフィールド」
淡々と名乗ると、サムはじっと私の顔を見て固まった。
「……うわぁ……お人形さんみたい。なんか、すごく綺麗で……えっと、話しかけても大丈夫なタイプの人かな……?」
「別に。でも、見た目で判断すると後悔するかもよ」
ぴしゃりと返すと、サムは少し目を泳がせて、慌てて笑った。
「い、いや、そんなつもりじゃ……!ただ、ちょっと、ドキッとしちゃって……!僕たち前に草むらで目が合ったよね?その時から実は僕、」
「ストーーップ!サム、それ以上はアウト!」
そこへ、後ろからエブラの声が飛んできた。いつの間にか後ろに来ていたエブラが、半笑いで間に割って入ってきた。
「ネアにそういうの通じないから。というか、刺さる前に撤退な?」
「えっ、あ、ごめんネア、そういうつもりじゃ――」
「……気にしてない」
私はそっけなく答えた。ほんとはちょっとだけ、動揺してた。でもそれを見せるわけにはいかない。
「サム、ネアに変な印象持たれたくなかったら、少しは慎重にいこうな?」
「う、うん……気をつける……」
エブラの苦笑混じりのツッコミに、サムは気まずそうに後頭部をかいた。
一方、隣のR.V.はというと、挨拶もそこそこにウルフマンや蛇について質問攻めしてきた。
「それって、いつも檻に入れているのか?」
「ヤギは本当に殺したのか?」
(――この人、動物愛護団体か何か?それなら少々厄介かも)
ヤギは元々肉屋から仕入れたものだから……と、エブラが上手く言いくるめたけど、R.V.の表情はどこか納得いかない様子だった。が、やがて夜も更けてきたので、2人には早めに帰るよう伝えた。
「R.V.って、愛護団体の人なの?」
「環境戦士、だな。近くの建設現場の邪魔をしに来てるらしい。あと1、2日でいなくなるとは思うけど、気をつけておいた方がいいな」
「R.V.にサーカスの中を見せたのは、悪手だったかもね」
「ああ、まったくだよ。ダレンが気を利かせてチケット渡したばっかりに……!」
「そのダレンが、ショー終わってから行方不明ってどういうことよ……」
何か問題が起きなければいいけど――そう思いながら、私たちはショーの片付けに戻った。
けれど、この場所に待ち受ける結末が平穏なものでないことを、まだ誰も知らなかった。
