①奇妙なサーカス
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9章
「誰!?」
こんな真夜中に、いったい誰がいるっていうの?
そう思った矢先、ダレンの先にある墓石の陰から――突然、手が伸びた。その手はダレンの腕をつかんで、そのままの勢いで地面へと引きずり倒した。
「ほんの少しでも動いてみろ!ひと思いに突き刺してやる!」
呻きのような声と言葉に私はその場で留まった。
先程の手と声の主はダレンに馬乗りになり、木の杭を振りかざした。月明かりに照らされて顔がようやく見えたそれは、ダレンが自らと引き換えに命を助けたスティーブ・レナードだった。
「スティーブか!?いったいなんの...」
「うるさいっ!てめえのお友達に聞かれたら困るんだよ。女が一緒にいたのは予想外だったけどな。おい、動くとこいつを殺すぞ」
ぎろっとこちらへ向く双眸。かなり気が立っているスティーブ・レナードの言葉に私は駆け寄ろうとした足を止めた。
「スティーブ、こんなところでなにやってんの?」
「バンパイア狩りに決まってるだろうが!」
馬乗りになったスティーブ・レナードが杭で心臓辺りを軽く突きはじめる。
「バンパイアになりたかったのは俺なのに...!なのにバンパイアになったのはてめぇのほうじゃねぇか。ちくしょう、はじめっから全部仕組んでたんだろ?俺が悪魔だって吹き込んで何もかもぶち壊しやがって!」
「なんだよ、冗談じゃない!!バンパイアになりたいなんて僕が思うわけないじゃないか。お前を助けるためにしかたなく、我慢して、嫌々なっただけなんだ。僕がクレプスリーの手下にならなきゃ、お前、今頃死んでたぞ!」
「へーえ、そうかい。俺はてめぇを親友だと思ってたんだぜ」
「今も親友だってば!」
スティーブの逆恨みか。でもあのまま毒に侵され続けていたらスティーブ・レナードは確実に死んでいた。命の恩人であるはずなのになんてことだ。
「ダレン、ネア、そろそろ終わるぞ」
少し離れた所からクレプスリーの声が聞こえた。静かな墓場はクレプスリーの声がよく通って聞こえた。
スティーブ・レナードは肩をビクつかせて怯んだようにみえた瞬間、私は彼目掛けて走り出しスティーブを突き飛ばした。
スティーブは、のろのろと起き上がりにやにやと笑いだした。
「今日のところは引き上げる。今晩殺せると思ったけどよ、やめだ。どうせその女だってバンパイアなんだろ?いいさ、俺はこの先一生かけて、てめえらをどこまでも追いかけて息の根を止めてやるからな!」
そうきっぱり言い放った。
「俺は世界一のバンパイアハンターになるんだ!!この血にかけて誓ってやる!」
スティーブはナイフを取り出して左の手のひらに小さな十字架を刻み、傷口から滴る血を私達の目の前につき出した。
そしてスティーブは暗闇へと駆け出してあっという間に消えてしまった。
「ダレン、大丈夫!?すぐクレプスリーを呼ぶよ。血痕を辿っていけばあの子を始末できる」
「い、いや、いいんだ。クレプスリーは呼ばないで。……ねぇ、今のことはクレプスリーには黙っていてよ。あんなこと言われてもスティーブは僕の大切な友達なんだ。きっとすぐに諦めてくれるよ、たぶん…」
今すぐにクレプスリーを呼べば、スティーブを捕まえて殺すことができるけどダレンは私の腕を掴んで止めた。
「……その多分がいつか確信に変わるといいね。わかった。今あったことは2人の秘密。約束する」
その後、2人でクレプスリーの元に戻ればちょうど土を馴らし終えていた。戻ってから気が変わるかと思っていたけれどダレンは黙ったままだったから本当に隠すつもりだ。
勿論、私も話さない。だって約束したもの。
「さあて、そろそろ行くか」
「ちょっと待って」
そう言ってダレンは高めの墓石に飛び乗って町を見下ろした。
生まれ育った町を目に焼き付けているのだろう。
「バンパイアに、別れはつきものなんだ。ひとところに決して長くは留まらない。新たな土地へと生涯さまよう歩く。それがバンパイアの定めというものだ」
「友達は?絶対にできない?自分の家や奥さんや家族も一生持てないの?」
「諦めろ」
「寂しくないの?」
「寂しいなんてもんじゃない」
クレプスリーにそう言われダレンはうなだれて頷いた。
少なくてもクレプスリーは正直に答えたし、噓をついて淡い期待をダレンが持ってはかわいそうだ。
「よし、行こう。僕、おなかすいたよ」
「私も」
「うむ、我が輩もだ。ではお食事の時間にするかね」
ダレンは大きく息を吸って墓場に背を向けて歩き出した。
新たな仲間が加わった私たちの旅はこれからも続く。
「誰!?」
こんな真夜中に、いったい誰がいるっていうの?
そう思った矢先、ダレンの先にある墓石の陰から――突然、手が伸びた。その手はダレンの腕をつかんで、そのままの勢いで地面へと引きずり倒した。
「ほんの少しでも動いてみろ!ひと思いに突き刺してやる!」
呻きのような声と言葉に私はその場で留まった。
先程の手と声の主はダレンに馬乗りになり、木の杭を振りかざした。月明かりに照らされて顔がようやく見えたそれは、ダレンが自らと引き換えに命を助けたスティーブ・レナードだった。
「スティーブか!?いったいなんの...」
「うるさいっ!てめえのお友達に聞かれたら困るんだよ。女が一緒にいたのは予想外だったけどな。おい、動くとこいつを殺すぞ」
ぎろっとこちらへ向く双眸。かなり気が立っているスティーブ・レナードの言葉に私は駆け寄ろうとした足を止めた。
「スティーブ、こんなところでなにやってんの?」
「バンパイア狩りに決まってるだろうが!」
馬乗りになったスティーブ・レナードが杭で心臓辺りを軽く突きはじめる。
「バンパイアになりたかったのは俺なのに...!なのにバンパイアになったのはてめぇのほうじゃねぇか。ちくしょう、はじめっから全部仕組んでたんだろ?俺が悪魔だって吹き込んで何もかもぶち壊しやがって!」
「なんだよ、冗談じゃない!!バンパイアになりたいなんて僕が思うわけないじゃないか。お前を助けるためにしかたなく、我慢して、嫌々なっただけなんだ。僕がクレプスリーの手下にならなきゃ、お前、今頃死んでたぞ!」
「へーえ、そうかい。俺はてめぇを親友だと思ってたんだぜ」
「今も親友だってば!」
スティーブの逆恨みか。でもあのまま毒に侵され続けていたらスティーブ・レナードは確実に死んでいた。命の恩人であるはずなのになんてことだ。
「ダレン、ネア、そろそろ終わるぞ」
少し離れた所からクレプスリーの声が聞こえた。静かな墓場はクレプスリーの声がよく通って聞こえた。
スティーブ・レナードは肩をビクつかせて怯んだようにみえた瞬間、私は彼目掛けて走り出しスティーブを突き飛ばした。
スティーブは、のろのろと起き上がりにやにやと笑いだした。
「今日のところは引き上げる。今晩殺せると思ったけどよ、やめだ。どうせその女だってバンパイアなんだろ?いいさ、俺はこの先一生かけて、てめえらをどこまでも追いかけて息の根を止めてやるからな!」
そうきっぱり言い放った。
「俺は世界一のバンパイアハンターになるんだ!!この血にかけて誓ってやる!」
スティーブはナイフを取り出して左の手のひらに小さな十字架を刻み、傷口から滴る血を私達の目の前につき出した。
そしてスティーブは暗闇へと駆け出してあっという間に消えてしまった。
「ダレン、大丈夫!?すぐクレプスリーを呼ぶよ。血痕を辿っていけばあの子を始末できる」
「い、いや、いいんだ。クレプスリーは呼ばないで。……ねぇ、今のことはクレプスリーには黙っていてよ。あんなこと言われてもスティーブは僕の大切な友達なんだ。きっとすぐに諦めてくれるよ、たぶん…」
今すぐにクレプスリーを呼べば、スティーブを捕まえて殺すことができるけどダレンは私の腕を掴んで止めた。
「……その多分がいつか確信に変わるといいね。わかった。今あったことは2人の秘密。約束する」
その後、2人でクレプスリーの元に戻ればちょうど土を馴らし終えていた。戻ってから気が変わるかと思っていたけれどダレンは黙ったままだったから本当に隠すつもりだ。
勿論、私も話さない。だって約束したもの。
「さあて、そろそろ行くか」
「ちょっと待って」
そう言ってダレンは高めの墓石に飛び乗って町を見下ろした。
生まれ育った町を目に焼き付けているのだろう。
「バンパイアに、別れはつきものなんだ。ひとところに決して長くは留まらない。新たな土地へと生涯さまよう歩く。それがバンパイアの定めというものだ」
「友達は?絶対にできない?自分の家や奥さんや家族も一生持てないの?」
「諦めろ」
「寂しくないの?」
「寂しいなんてもんじゃない」
クレプスリーにそう言われダレンはうなだれて頷いた。
少なくてもクレプスリーは正直に答えたし、噓をついて淡い期待をダレンが持ってはかわいそうだ。
「よし、行こう。僕、おなかすいたよ」
「私も」
「うむ、我が輩もだ。ではお食事の時間にするかね」
ダレンは大きく息を吸って墓場に背を向けて歩き出した。
新たな仲間が加わった私たちの旅はこれからも続く。
