①奇妙なサーカス
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7章
「ふむ、ではさっそく君の友人を助けに行こうではないか」
クレプスリーの一声で、私たちは夜の病院へ向かった。
スティーブ・レナードは集中治療室にいた。猛毒に蝕まれながらも、なんとか生きている。
クレプスリーが解毒剤を注入してから間もなく、スティーブの顔色は少しずつ戻ってきた。暫くして巡回に来た看護師がスティーブの容態に気づき、医師たちは「奇跡的な回復だ」と首を傾げていたのを、私たちはそれを遠くから静かに見守っていた。
「じゃあ、僕はここで……」
病院の出口まで来たところで、ダレンがそう言った。声は落ち着いているようで、どこか震えていた。
「君たちはどこか別の町に行くんでしょ? 僕には、家族も友達もいて……家に戻らなきゃ」
彼の視線は遠く、まるで自分に言い聞かせるようだった。でもその言葉に、クレプスリーは薄く笑って言った。
「戻れるとでも思っているのか、ダレン・シャン?貴様はもう、夜の生き物なのだぞ」
「でも……!学校もあるし家族だって……!」
必死に繋ぎ止めようとするようなその声に、私はほんの少しだけ胸が痛んだ。でも、それはもう叶わない。
「もう戻れないよ」
ダレンがこちらを見る。私は静かに、事実だけを伝える。
「君も、もう『こっち側』の人間だよ。……それを選んだのは、君自身でしょ?」
ダレンが唇を嚙み締めた。
何か言おうとしていたけれどその言葉は聞けないまま、彼は私たちに背を向けて走り去っていった。
「ほう、逃げるか。だが無駄だ。貴様はもう夜の生き物。我が輩の手下なのだ、ダレン・シャン!」
クレプスリーは私に一瞥をくれると、踵を返して街を離れていった。
「……連れ戻さなくていいの?」
「ふん。放っておいても分かる。苦しむのは、あいつ自身だからな」
ー
ダレンが逃げたあの日から、私はまた彼の行動を見張ることになった。
スティーブ・レナードは奇跡的に快復し、学校にも通えるようになっていた。だが、ダレンは明らかに変わり始めていた。
身体能力は以前の何倍にも跳ね上がり、食欲は異様なほど増し、そして……血の誘惑にも。
ある日。体育のサッカー中に友だちが怪我をした。
膝から流れ出す鮮血に、ダレンは無意識のまま吸い寄せられた。ほんの一瞬。舐めた程度。
でも、それは決して冗談では済まされない行動だった。
「わ、我こそはバンパイアの王者なるぞ!お前らの血を吸うぞーっ!」
必死にごまかすように叫んで、周りの友だちは笑っていたが、離れた場所から見ていたスティーブ・レナードの笑いだけは違った。
目を見開いて、声も出さずに笑っていたのを見た。
「ふむ、ではさっそく君の友人を助けに行こうではないか」
クレプスリーの一声で、私たちは夜の病院へ向かった。
スティーブ・レナードは集中治療室にいた。猛毒に蝕まれながらも、なんとか生きている。
クレプスリーが解毒剤を注入してから間もなく、スティーブの顔色は少しずつ戻ってきた。暫くして巡回に来た看護師がスティーブの容態に気づき、医師たちは「奇跡的な回復だ」と首を傾げていたのを、私たちはそれを遠くから静かに見守っていた。
「じゃあ、僕はここで……」
病院の出口まで来たところで、ダレンがそう言った。声は落ち着いているようで、どこか震えていた。
「君たちはどこか別の町に行くんでしょ? 僕には、家族も友達もいて……家に戻らなきゃ」
彼の視線は遠く、まるで自分に言い聞かせるようだった。でもその言葉に、クレプスリーは薄く笑って言った。
「戻れるとでも思っているのか、ダレン・シャン?貴様はもう、夜の生き物なのだぞ」
「でも……!学校もあるし家族だって……!」
必死に繋ぎ止めようとするようなその声に、私はほんの少しだけ胸が痛んだ。でも、それはもう叶わない。
「もう戻れないよ」
ダレンがこちらを見る。私は静かに、事実だけを伝える。
「君も、もう『こっち側』の人間だよ。……それを選んだのは、君自身でしょ?」
ダレンが唇を嚙み締めた。
何か言おうとしていたけれどその言葉は聞けないまま、彼は私たちに背を向けて走り去っていった。
「ほう、逃げるか。だが無駄だ。貴様はもう夜の生き物。我が輩の手下なのだ、ダレン・シャン!」
クレプスリーは私に一瞥をくれると、踵を返して街を離れていった。
「……連れ戻さなくていいの?」
「ふん。放っておいても分かる。苦しむのは、あいつ自身だからな」
ー
ダレンが逃げたあの日から、私はまた彼の行動を見張ることになった。
スティーブ・レナードは奇跡的に快復し、学校にも通えるようになっていた。だが、ダレンは明らかに変わり始めていた。
身体能力は以前の何倍にも跳ね上がり、食欲は異様なほど増し、そして……血の誘惑にも。
ある日。体育のサッカー中に友だちが怪我をした。
膝から流れ出す鮮血に、ダレンは無意識のまま吸い寄せられた。ほんの一瞬。舐めた程度。
でも、それは決して冗談では済まされない行動だった。
「わ、我こそはバンパイアの王者なるぞ!お前らの血を吸うぞーっ!」
必死にごまかすように叫んで、周りの友だちは笑っていたが、離れた場所から見ていたスティーブ・レナードの笑いだけは違った。
目を見開いて、声も出さずに笑っていたのを見た。
