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男の戦い

「くっ、やるならひと思いにやれ」

 まるで切腹を覚悟した武士のようだ。

 だが、これからシグリを待ち受けているのは
 切腹でもなければ首落としでもない。

 ――消毒液だ。

「大丈夫、大丈夫。そんな気ぃ張るなって」
「張ってなどいない!!」
「じゃ、いくからな」
「ま、まて、まてまてまてまて」
「なんだよ、やるの、やらないの? どっち?」

 赤く血を滲ませる膝。
 転んで怪我をしたのはいいが、しみるのは嫌だ。
 けれど――。

「やる」

 シグリはようやく覚悟を決めたようだ。

「やらねばならないことは……やらねば」
「よっし、その意気だ。じゃ、垂らすぞ」

「あああ、やっぱちょっと待て、あ、あ、ああーーーーっっっ!!!!」

 消毒液がしみる傷口と戦うシグリは
 もだもだと手足をばたつかせた。

【END】
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