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FLOWER

「花屋か……」
 市内を練り歩いていた二人は、店の前に出されていた色とりどりの花々を発見した。
「ちょっと見ていくか」
 ヴィヴィの提案にシグリが頷く。
 ドーンとどてかい花弁を真っ赤に燃やして咲く花。
 小さな白い花がいくつも連なる花。
 釣り鐘みたいな不思議な形の花。
「まるで小さな博覧会みたいだな……シグリ?」
 彼がある一点を凝視していることに気が付いたヴィヴィ。
「買っていくか?」
 ふっと音もなくシグリの傍へゆき、耳元に声を落とす。
「お、お前……っ&⁉」
「俺も好きだぜ、白い花」
 シグリが見つめていた先にあったのは一輪の白薔薇だった。
「……余計な出費をしていてはこの先がどうなるか分からない」
「もっともな解答だ。だが、懐かしいな」
「懐かしい?」
「昔、小さい頃、薔薇がたくさん咲いている場所に住んでたんだよ」
「……そうか」
 彼の知らない話に、少し頬を膨らませながら少年は店の奥にいた店主に声をかけた。
「これを一輪」
「毎度~!!」
 店主が嬉々として白薔薇を包んでくれる。
 その様子を見てヴィヴィは叫んだ。
「って、おい、結局、買うんかい!?」
 はいよ、と店主から手渡しされた小さな花束。
 白薔薇は頬を赤く染めたシグリの手の中で輝いた。

【END】
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