SS
雲の上
厚い雨雲が世界を覆う。
ざっと暴れる雨粒に襲われて、みな散り散りに建物の中へと退散していく。
「あーあ、降ってきたなぁ」
あくびがでそうなほど、のんきなヴィヴィの声にシグリはうなずいた。
「あの雲の上にでも行けたら、こんなひどい目に合わなくても済むのになぁ」
ヴィヴィの夢想にシグリはくすっと笑いを零した。
「どうした?」
「ああ、いや、面白いな、お前は」
「おお~、そっか?」
「私も連れて行ってくれ。お前が雲の上に行くときは」
「勿論じゃねぇか!!」
くだらない願い事かもしれない。
いつまでも一緒に居たい、と願うこと。
【END】