SS
髪
「お前、髪、長いよな」
声をかけた主が振り向きざまにヴィヴィの瞳を射止めた。
黄金色の美しい髪の下には鋭い深緑色の瞳が光る。美しい毛並の小さな獣。
「お客さ~ん。少し、前髪を切りましょ~か?」
ヴィヴィがおどけて、人差し指と中指でハサミを作りチョキチョキと切る動作をした。それを見てシグリがクスッと音を立てて笑う。
「お前が、か?」
ヴィヴィは彼の蠱惑的な笑みにたじろいだ。
「いいや。悪かった。……私が自分でやる」
机上に置いてあったハサミを手に取るシグリ。ヴィヴィはあわてて、それを制止する。
「そのままでいい。そのままでいいから」
絹のように滑らかにそれが空中を滑っていく。吹く風に弄ばれ、ゆらゆらと光る金色。
ヴィヴィは無意識にシグリの髪に手を伸ばそうとしていたことに気が付いて、手を引っ込めた。
――お前の髪が綺麗だと、伝えたかった。
【END】
「お前、髪、長いよな」
声をかけた主が振り向きざまにヴィヴィの瞳を射止めた。
黄金色の美しい髪の下には鋭い深緑色の瞳が光る。美しい毛並の小さな獣。
「お客さ~ん。少し、前髪を切りましょ~か?」
ヴィヴィがおどけて、人差し指と中指でハサミを作りチョキチョキと切る動作をした。それを見てシグリがクスッと音を立てて笑う。
「お前が、か?」
ヴィヴィは彼の蠱惑的な笑みにたじろいだ。
「いいや。悪かった。……私が自分でやる」
机上に置いてあったハサミを手に取るシグリ。ヴィヴィはあわてて、それを制止する。
「そのままでいい。そのままでいいから」
絹のように滑らかにそれが空中を滑っていく。吹く風に弄ばれ、ゆらゆらと光る金色。
ヴィヴィは無意識にシグリの髪に手を伸ばそうとしていたことに気が付いて、手を引っ込めた。
――お前の髪が綺麗だと、伝えたかった。
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