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1話
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「オレちゃんと帰る保障のない生活になりますが…❤」
「別に、そっちでも充分撮れ高はあるので、構いませんよォ❤
苗字 名前さん?」
ドキッと肩が跳ねる。
私の名前……何で知ってるんだろう?
と、いうか、こんなの、契約するしか、道はないじゃないか…。
断る道なんて最初から、潰されてる。
看板なんてあるようでない、ただの道なりの道を進むしかないじゃないの…。
それでも、縋るしかない……。
二週間、耐えられたら帰れるという……この悪魔の蜘蛛の糸が垂らされることを信じるしかない…。
『わ、かりました…。』
「契約書、読まないんです…?」
『…長すぎるし、どうせ煙に巻くときは読んでいても関係ないんでしょう?』
「…おやぁ?心外ですねぇ…❤」
喉を鳴らし、笑うのを堪えている様だ。
手錠を外してくれる様子もないので、サインするにもかなり骨が折れた。
逃げるという選択肢も、この契約によって潰されてるのだ。
手錠ぐらい、外してくれてもいいのに。
「契約成立…ですねぇ❤」
この状況で、正しい判断なんて、出来るはずがない。
この悪魔は、自ら用意した道へ向かうしかない私の様子を、反応を、楽しんで見ているようにすら見えた。
・・・・・・・
ブラックが開けて入ってきたドアをくぐり、中に入るとさっきの場所とは似つかわしくない内装が目に入った。
カーペットの敷かれた、長い廊下にいくつものドアが等間隔に並んで続いている。
じゃらじゃらっと、歩くほどに首輪に繋がった鎖が音を刻んで、妙な雰囲気を醸しだした。
人間なのに、リードを持たれていて、まるで犬みたいだ。
「ここは元々ホテルだった、ようですよ。カカカッ、ですので、お部屋はたくさんありますので…安心して過ごせますよォ❤」
廃墟なのに、電気が付いているように感じる。
「お部屋もある程度は綺麗にしましたし、ベッドも新調しました。電気も繋ぎました。後、ここは、4階です。
下へ降りることも、誰かが登ることも出来ないようにしました❤」
心臓がうるさい。
ブラックは前にいて、こっちを向いてないのに、何故か見られてる感じがする。
隙を一切感じさせない。
歩くほどに、これからどうなるのか、その恐怖が募ってきてじっとりとした嫌な汗がどんどんと出て、止まらない。
「ここです。」