Bは倉庫に行き、一人考えを巡らせる。

「もっと名前が、私のことしか考えられなくなるぐらいまで待つつもりだったのに…」
一人きり、埃臭い倉庫で、段ボールに貼ってあるラベルを指で弾き、なにか探し物をしながら独り言を呟いている。

「あの人は私のもの…丹念に育てた、私のもの…。群がる害虫は駆除しないといけませんねぇ…」

探し物が見つからず、奥へと進みながら、段ボールについているラベルも埃がかって見えなくなっている。
目当てのものが見つからない。
Bは進むごとにいい計画を立てることができて嬉しそうに微笑んでいる。
微笑んではいるが、対照的に声は低く冷たかった。
ラベルを弾き見る動きも、まるで旋律を奏でるように大きくなり、どんどんと奥へと進んでいく。

「綺麗な花にはいらない虫が群がりますね。手間暇かけて育てた。その労力を知りもせず…知性の欠片もない虫だから仕方ないか……。」
「虫どもの手がかからないようにするには、」
「…ふむ…害虫のいない場所までお引越しさせて、私がしっかりと必要な肥料をあげて絶対に枯れないように管理してしまいましょうかねえ。」

“見つけた”と低く呟き、ある段ボールの前でピタリと止まりラベルの埃を払う。
薄暗い室内で、Ｂは誰も見たことのない顔で笑った。

・・・・・・・

「はあ…」

序列Aになった神様の息子が急に来てから、嫌な絡み方をされるようになってしまって…B様とあまり話せなくなってしまった。
A様はB様を敵対してる？のかな…。B様の前だと一段と私に絡んでくる気がする…。
周りの天使たちは、次期神様はきっとA様だから、私を妻にしようとしてる！！と噂話で賑わっている。